第6章 生きてこの先の刻を共に
「…っ…君は随分と聞き分けが悪いようだな」
炎柱様はそう言いながら一瞬表情を緩め、けれどもすぐにきりりとした表情に戻り
「引き続き援護を頼む」
上弦ノ参を見据えながらそう言った。
「はい!」
クナイを構え私も炎柱と同じように見据える。
その時、上弦ノ参がニヤリと怪しい笑みを浮かべた。
…何か来る?
そう思いその身体の動きに全神経を集中させる。
ヒュッと視界から上弦ノ参が消えたのと同時に
「…っだめ…!!!」
音の向かう先を瞬時に理解した私は、急ぎそちらに向かった。
善逸があんな風に仲間だって嬉しそうに言っていた二人を…絶対に殺させやしない!
私は上弦ノ参の到着地点である炭治郎君の前ににさっと入り込み、その攻撃に備えようとした。けれども
「…っ違う!狙いは荒山だ!」
「…っ!?」
その言葉にとっさに雷の呼吸から、最近編みだしたばかりの響の呼吸肆ノ型に切り替えようとした。けれども
「…ッグ…」
まだ使い慣れていない新しい型に、急に切り替えるのは難しく
「荒山!」
「鈴音さん!」
「猫女!」
上弦ノ参の横蹴りを食らった私は、森のほうに盛大に吹っ飛ばされてしまった。
メキッ!
「…っ!!!」
体を捻り飛ばされた先にあった木の幹を避けようと試みるも左太もも側面を強打してしまい、痛みで顔が歪む。
ドサリ
半ば落ちるように地面に着地し
「…痛っ…」
木の幹に強打した部分に視線をやる。
…太ももで…よかった…。
万が一ぶつけた場所が腕や腹部だったら骨がおれていた可能性もある。けれども、雷の呼吸の訓練でも、天元さんから受けている忍の訓練でも、下半身を起点にしている動作が多いので、筋力が人よりも少ないと言われている私でも体のほかの部位に比べると、太ももは頑丈だった。