第6章 生きてこの先の刻を共に
…大丈夫。なんとか…炎柱様の邪魔にならず戦えてる。じいちゃん、天元さん…私に速く動ける脚をくれて…戦う術を授けてくれて…ありがとう。
私が今こうして足を引っ張ることなく炎柱様を援護できているのは、全て2人のお陰だ。2人のお陰で私は今、生まれて初めて好きだと思えた人の助けになれている。
弾き落されたクナイ拾いながら、すかさず逆の手に持っていたものを呼吸を使いながら投げる。
ひとつひとつ毒の配合が違うクナイの毒を分解するのに時間がかかることを理解したと思われる上弦ノ参は、私がその背中に向かって放ったクナイを炎柱様の日輪刀の刀身を素手でつかみ防ぎながら弾き飛ばした。
その後、ヒュンッとその身体が一瞬で消え、その音の流れから、自分のほうに向かってくるのを察知した私は、それに負けない速度でサッと炎柱様の隣まで移動し、先ほどまで自分がいた場所が、鬼の拳で抉られている様を息を荒くしながら見ていた。
「…貴様いい加減にしろ。俺と杏寿郎の戦いを邪魔するな。神聖な戦いにこれ以上ちゃちゃを入れるのは止めろ」
上弦ノ参は額に筋を作り、言葉の通り鬼の形相で私を睨みつけてくる。
「…最初も言ったけど、傷を回復できるあんたが神聖だとか正々堂々だとかそんな言葉を口にするのはおかしいでしょ。それをしないって言うのならいなくなってやるわよ…ま、出来ないでしょうけどね?」
わざと馬鹿にするような口調でそう言った私に
「なんだとぉ…っ!!!」
上弦ノ参は更に筋を深くしながら私を睨んでいる。そんな様子に
「荒山やめろ!君が標的にされるぞ!」
炎柱様が声を荒げながら言った。
「…私に来ても、私は逃げ回るだけなので…より時間稼げるので、逆に都合が良いくらいです」
私はそう言って、炎柱様にニコリと微笑みかけた。