第6章 生きてこの先の刻を共に
良し。効いてる。後はどれだけあいつに当てられるか。
「ッ藤の花の毒か…!っなんなんだお前はさっきから!俺と戦いたいのなら…正々堂々真正面から来い!」
「正々堂々?すぐ傷が治る身体をもってるくせに何を寝ぼけた事を言ってるの?正々堂々戦いたいって言うのなら、…その吹き飛んだ右腕、回復させるんじゃないわよっ!」
シィィィィイ
クナイと爆玉が外れない程度に距離を保ち、手持ちの爆玉を次々に投げていく。
「荒山!」
「…っ私の心配をしている暇があったら…っ!…少しは…休んでください!あと…うるさくて…集中できないから…もう…叫ばないでくだ…さいっ!」
投げたクナイは、上弦ノ参の肩を掠めた。
…掠めるだけでも…充分!
そうして私はクナイと爆玉を駆使し、炎柱様が身体を休める時間を稼ごうと試みたのだった。
その途中で私は気がついた。
「っちょこまかと…うるさい奴だ!」
この上弦ノ参は、何故か私の攻撃を避けるばかりで、殆どやり返してくる様子がない。
…いったいどうして?鬼の癖に女は殴らない主義…とか?
意味はわからないが、時間を稼げさえすれば私としてはなんだって良い。そう思いながら上弦ノ参と睨み合っていた私の腕を
グイッ
後ろから引っ張ったのは
「っ炎柱様!」
「俺はもう充分休んだ…君はもう退がるんだ」
怒った顔の炎柱様だった。
「…そんな怖い顔で、睨まないでください」
そう言った私を炎柱様は
「何故俺がこんなにも怒っているのか、自分の胸に聞いてみることだな」
目を細め、ジトリと睨みつけた。
「…わかりません」
首をすくめそう答えた私に
「そうか!ならばこの戦いが済んだら説教だな!今のうちに心の準備をしておくといい!」
この状況に似合わない明るい調子でそう答えた。
「お説教される覚えは…ないんですけど」
「十分あるだろう!…まぁいい。とにかく今は、あいつの頸を切ることが先決だ」
炎柱様はそう言って上弦ノ参をじっと見た後、再び私の方に顔を向けてきた。