第6章 生きてこの先の刻を共に
その時
ドォォオン!
「…煉獄さん!」
「ギョロギョロ目ん玉!」
「…っ炎柱様!!!」
上弦ノ参を追いかけて木々の中へと消えていった炎柱様が、その攻撃で吹っ飛ばされてきたのか、盛土に激突した。砂埃が晴れたその先に見えたのは、後頭部を抑えゆっくりと立ち上がる炎柱様の姿。そしてそんな炎柱様に向かい、徐に近づく上弦ノ参。
そしてその時聴こえてきた
「鬼になろう杏寿郎」
上弦ノ参のふざけた言葉に
…っふざけるな。寝言は寝て言いなさいよ…!
ブワリと怒りの感情が心の奥底から一気に湧き上がり、
ザッ
恐怖の感情なんかすっかりと忘れ、私は炎柱様と上弦ノ参の間に入り込み、クナイを構え上弦ノ参を睨みつけた。
「…っ荒山!?」
「なんだお前は?俺と杏寿郎の邪魔をするな」
「あんたこそ、気安く炎柱様の名を口にするのはやめてくれない?…炎柱様の素敵な名が…汚れる」
「なんだとぉ?」
上弦ノ参は額に筋を浮かべ私を睨みつけている。
「荒山!退くんだ!命令だ!」
背後から炎柱様の怒鳴り声も聞こえる。
「残念ですが、その命令には従えません。私には私の果たすべき任務があります」
「何を言っている!?上官命令だ!大人しく従うんだ!」
今まで向けられたことのない怒気を孕んだ声が私に向けられ、その声がビリビリと頭に響いた。
「…っそんなに怒鳴らないでください。文句があるなら…お館様と天元さんに直接言ってくだ…っさい!」
手始めにクナイと一緒に手に隠し持っていた爆玉を一つ投げる。
すると避けるまでもないと思ったのか、上弦ノ参はそれを掴もうとする仕草を見せた。
…馬鹿ね。
ドォォオン!
閃光と轟音が辺りに響き渡る。
うるさくて…やっぱり苦手。
煙がはれたその先に見えたのは
「…っ貴様…俺に何をした…!?」
片腕が見事に吹っ飛んだ上弦ノ参の姿。
「聞かれて正直に言うと思う?」
「…小賢しい!」
音を聴き分け私の方に向かってくる様子をいち早く察知し、その踏み込んだ左脚に向け
シィィィイ
呼吸の常中を深め
シュッ
クナイを投げる。
ザシュッ
「…っ力が…入らない…!?」
命中したクナイの毒が効いているのか、上弦ノ参は一旦その構えを解いた。