第26章 今宵はふたりで【過去作派生中編 🤍→主←🐾 ♟️】
「プロの方と同じ音色だなんて、俺も嬉しいです」
さらりと言う筈だったのに、彼女に褒められて嬉しくて目元に熱が集う。
それを見てくすくすと微笑うヴァリスを少しだけ睨んだ。
「っ……笑わないでください、」
「ご、ごめんなさい。でも、少し………、」
微笑いながらほっとしたように目元を解く。
その視線から逃れるように主の寝室の扉をひらいた。
「ほっ……ほら、着きましたよっ」
彼女の部屋へと足を踏み入れ、その手でカーテンを閉める。
複雑なドレスの装飾をてきぱきとした所作で外していく。
「っ………。」
何年経ても恥ずかしそうに身を震わせる彼女をなるべく見ないようにしながらドレスを脱がせていく。
瞳が忙しなくさ迷い、目元を染めてそっぽを向いている彼女に気づいて、手を動かしながら訊ねた。
「まだ慣れませんか?」
仄かに微笑みながら告げると彼女は頷く。
「うん、………ちょっと恥ずかしくて、」
薄絹のシュミーズの上からでもはっきりとその大きさが分かる程痛ましい背の傷痕。
コルセットの紐を解き外した後、夜着を身に纏うのを手伝って。
「では、………俺は一旦失礼します。おやすまなさい、主様」
「うん、………おやすみ」