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訳アリ主と恋スル執事たち【あくねこ短編集】

第28章 今宵はふたりで ED - Ⅰ【 ‎🤍 → 主 ← 🐾 ♟️】


「普段あまり踊らないので……身体が熱くなってしまったようです」

三曲続けて踊った後、

中庭へ出ましょうと告げたフェリスの手を取って降り立ったヴァリスが呟く。



その間も、突き刺さるような視線がヴァリスの背に刺さる。

彼女はそれを思考から追い出すように曖昧に微笑んだ。



「君ほど美しい人なら、引く手あまただろう?」

本気で言っているらしいその一言に微笑が凍りそうになる。

胸のなかの混沌を上塗りながら唇をひらいた。



「ふふ。そのように言ってくださるのはフェリス様だけですよ」

微笑を浮かべながら見上げると、重ねた指がぐっと引かれる。



「きゃ………っ!」

力強く引き寄せられ、バランスを崩しかけたその身を抱き寄せられる。



互いの吐息を感じる程に接近した距離感に、知らず頬に血の色が昇った。

甘く柔らかな、されど女の心を絡め取るように魅惑的な香水の芳香は、

彼もまた男性なのだと知らしめるよう。



「フェリス様……?」

その腕のなかで身を固くしていると、耳元にその唇が近づき………。



「ふたりになれる場所へいこうか、………リラのお嬢さん?」




「!?」

その名にびくりと身体が跳ねる。

その所作で確信を得たのか、その薄い唇に美しい弧を描いた。



「やはり、………君が、」

その微笑は上辺は穏やかだが、瞳には何処か狂気じみた愉悦が宿っていた。



仄かに身を震わせるヴァリスにその指が伸びてくる。

思わずぎゅっと瞳を封じると、

その指が触れた先は襟足で散らされた彼女の白銀色の後れ毛だった。



「ここで待っていて。………何か飲み物を取ってくるから」

そう言って、指先に絡めた髪に唇を押し当てる。

みるみる真っ赤になったヴァリスをくすくすと微笑って、

彼がダンスホールのなかへと戻っていく。
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