第18章 月嗤歌 ED Side A【☔️ ⇄ 主 *♟(激裏)】
「主様、………主様」
譫言のように呼びながら、鎖骨の上部辺りで止まっていたドレスの釦を再度外しはじめた。
そっとひらくと、薄いリンネルのシュミーズ越しに豊かなふくらみが顕になる。
「っ……。」
慌てて隠そうとした指をすばやく囚えて、その唇が首筋をなぞるように這わされた。
「ひぁ………っ」
細い首元のラインと、彼女自身の甘い匂いを確かめるように、
唇で肌の輪郭を辿りながら、シュミーズにその指が伸びてくる。
そっと胸を包まれて、ぴくん、と微かに震えてしまうと、優しい手付きで捏ねはじめた。
自分の胸が彼の掌によって、ふにふにと面白いように形を変える。
「あ、………そんな、」
そんな光景をみているのが恥ずかしくて、ふいと視線を解いてしまうと、
眼前に晒された耳殼に、熱くてぬめるものがふれた。
「や、……舐めな、………ひぅっ」
小ぶりなその形を確かめるように熱い舌が輪郭をなぞり、
耳孔に尖らせた舌先が侵入してくる。
ぢゅる、ぢゅるり、と彼に削ぐわぬ音を立てながら舐められ、
聴覚からヴァリスを苛んだ。
ちゅ、ちゅる……と耳を味わい、恥ずかしさに視線をさ迷わせるヴァリスを、
柔らかなひかりを孕んだフェアリーストーンの瞳で見下ろしてくる。
けれどその双眸は蜂蜜を纏っているような愛おしさを映しながらも、
彼女の全てを欲する渇望を宿っていた。
「や、………んう、」
獰猛な煌めきをみせるその瞳をみつめていられなくて、
ぎゅっと瞼をとじてしまうと、その指が戯れに乳首にふれる。
「ひぁっっ」
シュミーズ越しに優しく擦られ、さらさらとした布地が胸の先を撫でる感触に
思わず眼をあけると、射抜くような瞳を視線がかち合った。
「……ユーハン、」
舌足らずな声でその名を紡げば、その眼光が増した気がした。
普段の彼の姿からは想像もつかぬ程、ギラギラと妖しくひかる双眸。
それは彼もただの男なのだと知らしめるかのようで、涙の膜を纏った瞳で見上げる。
未だ恥じらいは胸の内を満たしていたけれど、
その思考のままに熱に霞んだ瞳でみつめれば、額へキスをしたユーハンが囁く。