第5章 二人の温度で
俺が目を覚ますのを確認し、少し掠れた声で「おはようございます」と言って笑う。
「おはよ……体、大丈夫? 優しくするとか言って、俺、かなり無理させたから……」
「はい、大丈夫ですよ。それに、一二三さんは……優しかったです」
嬉しそうな、はにかんだ様な笑顔で言った。
この愛おしさを、俺は一体どうすればいいのか。
「あーっ! 腕の中に閉じ込めときたいっ!」
「一二三さんっ、苦しぃっ……」
ベッドで二人して一通りじゃれ合い、見つめ合う。
「ここまでしてて、なんだけど……。本当に、俺でいいの?」
驚いたように目を見開いたちゃんは、すぐにまた微笑んで、俺の両頬を指で摘んで口を開く。
「よくなかったら、あんな事……してません。私だって、そう思ってるんです。言いっこなし、ね?」
「ひゃい……」
そう言って笑ったちゃんの笑顔が、俺の心を温かくして、何もかもを溶かしていく。
俺は、君に出会えて、本当に幸せだ。
これからも、ずっと大切にするから。俺から、離れて行かないで。
そう、願うばかりだ。
〜完〜