第4章 傷とキズを舐め合うように
ちゃんの傍に歩み寄り、ちゃんを横抱きにする。
お姫様抱っこをされて、ちゃんが真っ赤になって固まる。
「ひ、一二三さんっ、あの、おろしっ……」
「だーめっ! こうでもしないとちゃん言う事聞いてくれないっしょ? はいはーい、観念して大人しくするー」
そのままソファーに下ろして、同じ目線になったちゃんと目が合った。
いつ見ても可愛いちゃんの頭を、優しく撫でる。
「子供扱い……しないで下さい」
「お姫様扱いしてるんだって。分かってるっしょ?」
囁いて、ちゃんの頬を撫でると、ピクリと体が跳ねる。その目は、拒絶ではない色で揺れた。
顔が近づいて、後数センチで唇が触れる場所で止まる。
「……あの、さ……キス、したいんですが……いいですか?」
「こ、この近さまで来て……いちいち聞きます?」
「いやぁ、一応断っといた方がいいかと……前はその……突然だった、しさ……」
キスしたくてウズウズしながら、ちゃんの許可を待つ。
いいと言ってと、そう願う。
「嫌なら、こんな体勢……許してません」
「ヤバイなっ……君にキス出来るって思ったら、めっちゃ興奮する……」
「ふ、ぅンんっ!」
こないだ散々したのに、ちゃんに触れられると思うと、自分から溢れる何かが止まらなくなる。
頬を両手で包み込み、噛み付くみたいに食らいついて、舌を絡めて何度も角度を変えながら、夢中でちゃんを味わう。
「んっ、はぁっ、ぁっ……」
独歩がいると分かっているし、いつ見つかるかも分からないから、終わらなきゃいけないのに、体が言う事を聞かない。
「ひふっ、んっ、みさっ……長っ……ぃ、ンっ」
「ごめっ……ンっ、んっ、はぁっ……でも……もっ……ちょっとっ……はっ、だけっ……」
キスだけなのに、体が熱くて、止められなくて、ちゃんが俺の服を握って、苦しそうに漏らす声がたまらない。
「んんっ、もっ……苦しっ、ダメっ……一二三っ!」
名前を呼ばれて唇が離れた。
「はぁはぁ……私をっ、殺す気ですかっ!」
「あ、ごめっ、俺っ、夢中でっ……」
荒い息をしたまま、彼女から距離を取る。