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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第34章 呪いの器(三成君)


三成「褒められるようなことは何もしていません。
 舞様が心配で、ただそれだけの私欲で動いただけです」

「三成君……」

三成「舞様と共に歩んで行くと約束しました。
 そのためにはいつまでも元気でいてもらわなくては意味がないのです。
 原因が医術でも薬学でもないなら私が助けられるとかもしれないと、そう思ったのです」


信長様にきっぱりと言い切った三成君から強い意志が感じとれた。

さっき味方をしてくれなかったと一瞬失望してしまったことが申し訳なくなるくらい気持ちが真っすぐだ。


(あの朝ミノムシになった私を抱きしめて言ったことを、三成君は守ろうとしていたんだ)


そう思った瞬間、乱れた感情は一瞬にして消え去った。


「ありがとう、三成君。
 さっきは怒鳴ったりしてごめんなさい」

三成「いいえ、あんなに怒った顔を初めて見ましたので新鮮でした」

「そ、え?そう……」



甘い言葉に目が点になりじわじわと顔が熱くなる。
まさかこんな状況で甘い言葉を吐かれると思っていなかった。


光秀「悪いが話を戻すぞ」


しどろもどろしていると光秀様が助け舟をだしてくれた。

彼は漂う甘い雰囲気に苦笑いして、しかしいざ簪を仕舞う時は真剣な表情に戻った。

私に要らない箱はないかと問い、使っていなかった木箱を渡すと包んだ布ごと入れて蓋を閉じた。


光秀「身に着けた者は命を落とすとあったが、舞は大丈夫なのか」

三成「気づかず身に着けていた場合はそうなるということでしょう」


このまま簪を使い続けていたら頭痛や吐き気がひどくなって、原因もわからないまま死んでいたかもしれない。

恐怖と安堵が押し寄せて、私は大きく息を吐いた。


信長「こやつの不調で城全体が沈んでいた。
 三成の私情は城に益をもたらした。大儀であった」


三成君はありがたく言葉を受け止めて頭を下げ、私も遅れて頭を下げた。


(呪いか…)


呪いは存在しない、非現実的なものとしてこれまで生きてきた。しかしありえない現象を目にしてしまい、本当に非現実的なものなのかわからなくなる。

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