第34章 呪いの器(三成君)
「急に眠くなってきたような…」
白々しく眠いフリをしたけれど信長様には通じなかった。
下から行燈の光が当たっているから凶悪な顔に見え、笑顔がこんなに怖く見える人もそう居ない。
信長「俺の尋問を目前にして無視を決めこんだ女は初めてだ。
骨が折れそうだな」
「じ、尋問っ!?私は悪いことは何もしておりませんが…」
信長「尋問とは罪を犯さずとも執行されると知れ。
俺がした質問に答えろ。答えなければわかっておろうな?」
口元は笑っているけど全く笑っていない目に射すくめられ、布団を掴む手に力がこもった。
(うぅ、怖い。だってこの人、あの織田信長なんだもんね。
怖いのは当たり前か)
急に『鳴かぬなら殺してしまおうホトトギス』というフレーズが頭に浮かび、懸命にさえずるしかないと腹を決めた。