第34章 呪いの器(三成君)
「家康……頭が痛いの…それに、気持ち悪い…」
家康「吐く?」
「まだそこまでじゃない…」
家康「わかった。脈をはかってるから気を楽にして。
ここには三成も俺も居るから安心していい」
「ん……」
三成君と家康に任せきりにして身を委ねた。
(生理が終わったばかりだから貧血かな。
貧血で激しい頭痛って聞いたことないな…)
家康にしみついた薬草の匂いを嗅ぐと少しだけ気分が良かった。
秀吉「このあと舞を運び出すっ。道をあけておけ」
光秀「舞付きの女中はどこだ。今すぐここに」
女中「は、はい、私めにございます!」
秀吉さんの命令で廊下に詰めていた人達が移動をはじめ、光秀さんは倒れる前の私の様子や食事の内容を聴き取りしている。
三成「ここまで酷くなるまで気づかず申し訳ありません、舞様」
「そんなことないよ。一番に気づいてくれたじゃない。
自己管理が足りなかった…かな」
頭痛薬をもらって飲んでいたけど、こんなに痛むようじゃ効いていないかもしれない。
家康「脈が安定しないな…。
三成、ここは病人には空気が悪くて騒がしい。部屋に連れて行ってあげて。
俺は自分の部屋に寄って薬一式を持っていくから」
三成「はいっ…!」
家康の気配がなくなるとすぐに違う人物がやってきた。
額に温かな手が乗り発熱を確かめている風を装って、その人物は私の耳元で囁いた。
政宗「ややの可能性はないのか?」
三成君はハッと息を飲んだけど私は即座に否定した。
「先週、きた…」
それだけ言えば十分だった。
政宗「なら原因がわかるまではお前の食事は俺が管理してやる。
まずは診察が先だな。三成、俺も付き添う」
三成「ありがとうございます。
さぁ舞様、行きましょう」
「ん…」
家臣1「舞様がお倒れになったぞ」
家臣2「大丈夫なのか?」
家臣3「もしやご病気では…」
(こんな大勢の前で…心配かけちゃう、な……)
ざわめきが次第にザー…というノイズ音に変わり、私は意識を失った。