第34章 呪いの器(三成君)
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「ん……」
顔に日が当たる眩しさに瞼を持ち上げた。
隣で寝ているはずの三成君をぼんやりとした意識で探す。
安らかな寝顔を見ようとしたのに天使の笑みを向けられているのに気がついて一気に覚醒した。
「お、おはよう」
三成「おはようございます、舞様」
喘がされてそのまま寝入ったので声が掠れている。
カサカサの声をきいて三成君は一瞬目を丸くして『昨夜は酷くしてすみませんと』笑った。
幸せそうな笑顔は朝日の爽やかさが陰るくらい眩しい。
三成「あなたの寝顔を見られて私は幸せものですね。
舞様はいつも早起きなのでなかなか寝顔を見せてもらえず残念に思っています」
「え?えぇ…?」
くれる言葉が甘すぎて朝からふやけてしまいそうだ。
布団を頭まで引っ張り上げて熱くなった顔を隠した。
三成「おや、どうして布団の中に?
ふふ、舞様がミノムシになってしまいましたね。
とても可愛らしいです」
「甘いこと言われ慣れてないから恥ずかしい…」
三成「久しぶりに舞様と一緒に居るのですから、思っていることをお伝えしなくてはね?」
三成君がぎゅっとしてくれて、布団越しに感じる優しい圧迫に口元が緩んだ。
彼の腕に囲われて私も幸せを嚙みしめる。
三成「愛しています、舞様。
家康様を尊敬していますが、愛しているという言葉はそぐわないです。
あなただけに贈る言葉です」
「う、うん、ありがとう」
家康に嫉妬するなんて『くだらない』とか、『そんなこと気にしてるのか』とか言いそうなものなのに、三成君は甘い愛の言葉をくれる。
恋人の優しさにだらしなく顔が緩んだ。