第34章 呪いの器(三成君)
三成君との夜は気持ち良すぎて、最終的に訳がわからなくなって泣いてしまう。
羞恥に赤く染まった私を、情欲を浮かべた紫色が愛おしそうに見おろしてくる。
三成「私に愛されて涙する貴女はとても綺麗です。
ですが本当に嫌な時は言ってくださいね?」
「嫌じゃない…よ」
気持ち良くて泣いているんだから嫌なはずがない。
正直に言うと三成君はキラキラの笑顔を浮かべて身を寄せてきた。
ちゅ…
三成君が強く肌を吸ったのは軟膏が塗られている腕の付け根付近だ。
「そこっ!お薬がついてるとこだよ、苦くないの?」
三成「大丈夫です。治療のためだと理解していたつもりでしたが、舞様の肌を見られたかと思うと堪りません」
一旦唇を離した三成君は見せつけるようにまた肌を吸ってくる。
チクチクとした痛みに熱い息が漏れた。
(三成君も嫉妬してたんだ……)
私の腕に吸いつく横顔は欲望を滲ませた男の人の顔で、その色気にクラっとした。
三成「舞様の美しい肌をできるなら誰にも見せないでください。
家康様が見て触れたかと思うとやりきれません」
三成君は治療部位を頻(しき)りに気にしながら私を抱き、焦れたように囁いた。
嫉妬に煽られた三成君はなかなか放してくれず、朝になる頃には筋肉質な腕や背中は私が付けた引っ掻き傷がいっぱいだった。
『大丈夫。だけど後でしつこくされるかもね』という家康の言葉は現実になった。