第34章 呪いの器(三成君)
三成「申し訳ありません。舞様をのけ者にするつもりはなかったのです。
安土城と言わず私の御殿に帰りましょう」
「ううん、いいの。
三成君と家康が本当は阿吽(あうん)の呼吸みたいな仲だっていうのはよーくわかったから、一晩頭を整理したいだけなの」
家康「やめて。こんな奴と阿吽の呼吸だなんて言われると寒気がする」
「そんなこと言ったって凄く息がぴったりだったじゃない」
あれだけ息が合った会話をしておいて仲が悪いなんてありえないじゃないと睨むと、家康は憮然として言った。
家康「あんた…ヤキモチを妬く相手、間違ってる」
「間違ってないよ。普段遠ざけようとしているのに蓋を開ければ誰よりも三成君のことわかってるもの」
家康「わかろうとしなくても一緒に居てこうなっただけだ」
「う、やっぱり一緒に居た時間が重要なんだ…」
三成「お二人とも落ち着いてください」
わけがわからないという顔で三成君は私達をなだめにかかっている。
困った顔も可愛いなと恋仲に見惚れてしまうあたり、ベタ惚れしてる証拠だ。
三成「それにしても舞様は怒っても、落ち込んでも可愛らしいのですね」
「三成君…」
家康「……そういうのは自分の御殿でやって」
呆れかえった家康に早々に追い出され、私達は帰路についた。