第20章 心配症
ヤバイ…気持ち良すぎて、どうにかなりそうだった。感じた事もないほどの快楽、感じた事もない幸福感。女を抱いた事なんて、腐るほどあるはずなのに。
こんなに気持ち良かったのも、こんなに心満たされたのも。今まで一度だってありはしなかった。全然違う。今まで自分がしてきた行為は何だったんだと思えるほどの差。比べるに値しないほど。全てがまるで違う。
好きな女を抱くって…こんなに幸せな感覚なんだ。
ハァハァと柄にもなく息を切らす自分に、思わず少し驚いてしまう。
僕が覆いかぶさる下では、同じようにしてハァハァと肩で小さく呼吸をする愛しい人。その頬はうっすらとピンク色に染まり、うるうるとした瞳で僕を見上げている。
正直言って可愛いすぎる。もう一度今すぐぐちゃぐちゃになるまで、抱きたいほどだ。だけどそれはやめておこう… リンを大事にしたいからね。
「リン、大丈夫?何処も痛くない?」
汗で張り付いた髪を避けるようにして耳にかけてあげると、リンは僕を見て恥ずかしそうにポッと顔を赤くすると「うん、平気…」と言って「えへへっ」と可愛らしく笑う。
ちょっ…僕の恋人…可愛すぎやしないか?
こんな可愛い生き物存在するの…?
リンへ覆いかぶさっていた体制を直して、隣へと寝転ぶと、リンもこっちを向くようにして僕の身体を抱きしめた。
「…悟、気持ち良かった…?」
僕の身体へと顔を埋めながら小さな声で聞いてくるリンは、一体何を思っているのか少し不安げで。僕はそんな彼女の頭を撫でながら笑顔で見下ろす。
「すっごく気持ち良かったよ。でも僕こそ… リンに優しく出来てたかな?」
正直言うと、途中まで僕自身緊張して少し手が震えていた。
だってずっと好きだった女にやっと触れられたんだ。
ずっと大好きで仕方なかったリンを抱いたんだ。
何度こんな事を夢に見ては慈悲行為で虚しくなったか分からない…他の女で仕方なくリンを想像しながら代用した事もあった。何度も何度もリンを抱く夢を見てた。
それがやっと叶った。
この僕が緊張して手を振わせるなんて笑っちゃうけど。だけど本当に、そのくらいリンのことが愛しくてたまらなかったんだ。