第20章 心配症
「ッリン!!」
次の瞬間、ガシッと掴まれた身体と
聞こえてきたのは私の大好きな声。だけどその声は、いつもと違いどこか強張っていて。
「リン‼︎しっかりしろッ、すぐ硝子のところに連れてくから」
ふわりと包まれた身体が抱き上げられる。
「…さと…る…?」
「うんそうだよ!僕だよ!!」
どうして悟がここに…?出張は?一週間帰ってこないんじゃなかったの…?
「おい伊地知‼︎何でコイツ一人で歩かせてんだよッ。君、僕に殺されたいの?」
悟の恐ろしく低い声が辺りに響き渡る。
悟…伊地知君は悪くないんだよ…私が一人で行けるって言ったの…伊地知君私の事追いかけて来てくれたのに…ごめんね…
そう言いたいのにボーッとして…視界もぼやけてて…声が出ない。
ダメだ…情けない。せっかく一級術師になったのに…私はまだまだ弱いままだ…
悟や傑みたいに…強くなりたいのに…
目隠しをしていても分かるほど、悟が、顔を歪ませているのが分かる。あぁ、悟に悲しそうな顔をさせちゃってる。どうしよう…
だけど少しずつ、遠のいていく意識。
遠くでは悟が私を呼んでる声がする。
ごめんね、悟…
私が弱いせいで…悟にそんな顔させて…ごめん。