第9章 さよなら五条先生
「とうとう千愛はこんな身なりの悪いフラフラした男に手だした? 不法労働者? 俺が使い古したアルマーニのスーツやるからそれ持って去れよ」
「遠慮しとくよ、好みじゃないんでね。イタリアならキートンでしょ。あ、一点もののオーダーメイドね」
「は? 馬鹿かこいつ。なに偉そうに余裕こいてんの? キートン!? 聞いて笑うわ」
KITON(キートン)はイタリアンスーツの世界最高峰ブランドだ。一着最低でも70万円からってスミレさんが話していたような気がする。
田丸はまだキートンにこだわっていて、ずっと五条先生を罵倒している。