第9章 さよなら五条先生
そして、ジョーの男の善し悪しをみたというのはきっと真実だ。
スミレさんは、どこか身内みたいに私の幸せを願ってくれているようなところがある。私の恋愛に首を突っ込んでは、いい男見つけなよって言って。
「ジョーは神坂ちゃんのことが、相当気になってるわね。彼が私とLINE交換したきっかけもあんたなんだから」
「え……」
「神坂ちゃんが玄関の前で倒れてた時の話をしたらその続き聞かせてくんない? って。飄々とした物言いなんだけど、なんてのかなー、日本全土破壊しそうなオーラ感じたわよ。なにもんなのあいつ」
スミレさんの目がキラっと光って、夜の世界に身を置く女の凄みを感じた。
さすがに日本人全員を殺せるだけの力を持った男ですとは言えず、私は苺のケーキにフォークを入れ、さぁと言って言葉を濁した。