第9章 さよなら五条先生
「でも、それにしては甘々な雰囲気だったけど……」
「そう見えた?」
スミレさんは吹き出すように笑った。手に持つコーヒーカップが揺れている。
スミレさんは珈琲をこぼさないようそうっとカップをソーサーに置いた。
「ジョーってば私の色仕掛けに全く反応なし。女に興味ないんじゃないかってくらいだったわよ」
「色仕掛けって……なにするつもりだったんですか!!」
「もぉそんな熱くなんないの。ほんと可愛いわね。ハプニングついでに軽ーくジョーを誘ってみただけよ。神坂ちゃんを傷つけない男かどうか試そうと思ってね」
「はい? なんですかそれ」
「私みたいなのに簡単に手を出すような奴ならチャラ男じゃん?」