The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第2章 東京卍會
動き出したインパルスは、中々のスピードを出しながら走り出した。
そして生ぬるい風がメットの間から入り込んできて、頬を撫でて擽ったい。
「武蔵神社ついたら、あんまオレから離れるなよ」
「何でですか?」
「結構うるせぇ奴らいるし、血の気多い奴が多いんだよ。絡まれないようにって事で」
「分かりました」
血の気多いということは面倒いのが多いって事だな。
そう思いながら、暫く三ツ谷先輩に引っ付いてバイクでの移動を楽しんだ。
バイクは運転した事はない。
だけどよくタンデムには乗る事があり、何時か運転はしたいとは思っている。
「さぁて、着いたぜ。武蔵神社」
「武蔵神社…」
ブレーキ音が響きバイクが止まる。
そして目の前には武蔵神社の鳥居があり、タンデムに乗ったまま見上げた。
ここで東京卍會は集会をしているのか…と思っていれば、近くから排気音が鳴り響いている。
その音を聞いていると懐かしくなる。
まだ1桁の年齢であった時に、鳴海ねぇにせがんで朱雀……鳴海ねぇのチームの集会に連れて行ってもらったのを。
「多分、マイキー達駐車場の向こう側にいるな。アイツの愛機の排気音聞こえるし」
「降りましょうか?」
「おう。オレのはここに止めるから」
タンデムから降りてメットを取っていれば、三ツ谷先輩はインパルスのエンジンを切って止めていた。
そしてメットを渡して辺りを見渡す。
「和泉、こっち」
「はい」
「マイキー!!」
すると三ツ谷先輩は大きめな声で佐野先輩の渾名を呼び、周りの東卍メンバーだろう人間達の視線が一気に集まる。
そして異物のような物を見るような目で、俺を見ており少しだけ気分が悪い。
まぁ特攻服来てなくて、見かけない人間がいればこうなるのも分かるけど。
そう思いながら三ツ谷先輩についていけば、バイクに跨っている佐野先輩がいたが何故か不満げな表情。
「なんで、イズミっちが三ツ谷のバイク乗って来てんの」
「オレの家で飯食ってたからな」
「はぁ!?そうなの!?だから、イズミっち連れてくるって言ったのか!!」
「おう。なんなら昨日も一緒に飯、食ったしな」
ニコーと笑う三ツ谷先輩と不貞腐れたような表情の佐野先輩。
何故佐野先輩があんな表情をするのか、正直不明ではあるがこの人俺より年上なのかと思ってしまった。