The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
ベッドから降りて、怪我している肩に気を付けながらパジャマから服へと着替える。
そして部屋から出ると、居間の方から親族の声が聞こえてきて舌打ちをした。
(殆どの奴が仕事休みだからな…今日も夜中まで帰らないでおこう)
顔を合わせれば面倒な事になる。
そう思いながら玄関へと向かい、靴をはいて扉を開けた時であった。
「何処に行くのですか?」
「……母さん。おはようございます」
「おはようございます。休日なのに早起きなんて珍しいですね。それで、何処に行かれるんですか?」
「お世話になっている先輩が入院しているのでそのお見舞いに行ってきます」
「…そうですか。そういえば、一昨日武蔵神社の駐車場で不良同士の抗争があったとか」
無表情のままの母さんの言葉に思わずドキッとした。
本家の人間達は不良とか野蛮なのが嫌いで、もし俺がそれに関わっているとバレたら後が面倒。
もしかしてバレたのだろうかと内心ドキドキしていた。
「そうなんですね」
「最近世の中物騒なので気を付けてくださいね」
「……ありがとうございます」
「貴方はこの神澤家の跡取りとなる大事な人間なのですから。何かあっては困ります」
「はい、分かってますよ。母さん」
普通に子供を心配しろよ。
結局は家の心配なのかよ…と心で舌打ちしながら、頭を下げて家を出た。
やっぱり、分家のおじさん達が言うように本家の親族と俺の両親は屑かもしれない。
なんて思いながらスーパーへと向かい、龍宮寺先輩へのお見舞いに渡す果物籠を2つ購入した。
(病院行ったら、先にお見舞いに行ってそれから治療受けるか……)
なんて考えて歩いていれば、あっという間に病院に辿り着いていた。
そして病院内に入るとまず龍宮寺先輩の所ではなく、違う病室へと入る。
「……こんにちは」
そう声をかけるが返答はない…。
目の前の病室のベッドに眠るのはとある女の子。
彼女は林田先輩の親友の彼女であり、愛美愛主の奴らに襲われずっと意識が戻らなかった子。
「あら…初めて見る方ね。娘の友達かしら?」
「初めまして。娘さんとは知り合いで…意識が戻ったと聞きましたのでお見舞いに来たんですが…眠っていらしたので」
「あらあら、ありがとうね」
「これ、よければ娘さんとご一緒に」
「まぁ!果物籠…ありがとう」