The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
この子も龍宮寺先輩と同じぐらいに意識を取り戻したらしく、折角だからとお見舞いに来た。
だが眠ってくれていて正直助かった所はある…何せ彼女は俺を知らないから。
「じゃあ俺はこれで」
「ありがとう、お見舞いに来てくれて」
「……いいえ」
それにしてもあの子顔の傷は残るかもな…。
なんて思いながら病室を出て、龍宮寺先輩が入院している病室を探す。
彼が入院している病室は三ツ谷先輩がメールで教えてくれたので、記憶した病室番号を思い出しながら探す。
暫く病室内を歩けばやっと見付けて、扉は開いていたので中を覗いた。
(1番置くだっけ…カーテン閉まってるな)
静すぎる病室には、奥の閉まっているカーテンから雑誌の捲る音がここまで聞こえてくる。
そしてカーテンを開ければ龍宮寺先輩が少しつまらなげな顔で雑誌を読んでいた。
「お、イズミっち」
「調子はいかがですか?龍宮寺先輩」
「見ての通り元気だ。ありがとうな、わざわざ見舞いに来てくれて」
「まぁ、一応来ないとアレですし。これどうぞ」
「うわっ、果物籠。高かっただろコレ」
「特に高いとかなかったんで。食べれる時にでもエマに皮剥いて食べてくださいね。まぁ、自分で剥けれたら自分で」
果物籠をサイドテーブルに置いてから龍宮寺先輩を振り向いた瞬間『なっ!?』と声をあげた。
まるで何かに驚いた様な表情と声に思わず眉間に皺が寄る。
「なんですか…?」
「イズミっち…お前、ソレ」
「ソレ?」
「……気付いてねぇって事は、承諾して付けられたやつじゃねぇよな…多分」
ボソボソと龍宮寺先輩は何かを言っていて、どうしたのだろうかと怪訝そうにしながら見ていると何処か言いにくそうに顔を見られた。
そして龍宮寺先輩は自分の鎖骨辺りをトントンと指で突くので、首を捻る。
鎖骨辺りが痛いのだろうか。
「イズミっち、お前……ココ、キスマ…ついてんぞ」
「………キスマ……?」
「鏡、見てみろ…」
「鏡……」
龍宮寺先輩は机に鏡を置いてから、見てみろと言葉と目で言ってくるので言われた通り鏡を見る。
そして鎖骨辺りに赤いまるで花びらのような痕があった。
「………なっ!!??」
「やっぱ気付いてなかったか…」
「な、こ…れっ、っ…あ、あの人っ!み、つ…つ〜〜っっ!!!」