The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
というか、俺が男装している時は八戒はどういう反応をするのだろうか。
女と分かっている人間が男装して触れたら、さっきと同じように固まってしまうのだろうか…そう考えながら八戒を見る。
「な、なに…?」
「八戒って男装した俺が触っても固まる?」
「ど…どうだろう……わかんねぇ」
「あ、ちょうど乾燥機止まったし試してみるか?」
「タカちゃん!!??」
三ツ谷先輩も面白くなっているのだろう…脱衣場の方を見てニヤリと笑っていた。
それを見て八戒は『え…』という顔をしていて、やっぱり三ツ谷先輩も年相応の悪ガキなんだと再認識する。
そして三ツ谷先輩は脱衣場へと向かうと、乾燥機に入っていた俺のウィッグを渡してくれてそれを素早く付けた。
八戒は『え!?え!?』という表情のまま。
「よし、これでどう?」
「男だね…ウィッグ一つで変わるもんなんだね」
「そう?父さん似だからかも…」
俺は父さん似だ。
最初は自覚していなかったが、連れていかれるパーティ等で参加者『お父様に似ていらっしゃいますね』とよく言われいたからそうなのだろう。
(そういえば祐介おじさんが、俺は父さんの子供の頃の顔とそっくりだって言ってたな…。それで父さん変質者に襲われかけた事が何回かあるって言ってたし)
父さんは今は普通に『男』という顔だが、どちらかと言えば『美しい』分類に入る。
幼少期は中性的な顔だったもんだから変質者に狙われたとか…。
「和泉、男装するとイケメンで女の姿の時は美人だよな」
「お世辞言っても何も出ませんよ?」
「…お世辞じゃねぇよ。本心だ」
真剣な顔で言われて、思わず俺は三ツ谷先輩から顔を背けてから目をキョロキョロと動かす。
この人には恥ずかしいとかそういうのはないのだろうか…平然と言ってくるが。
「と、とりあえず…試してみよう」
「え…本当にやるの!?」
「気になるからやらせろ」
「なんか言い方!!」
八戒がギャーギャー騒いでいる隙にピトッ…と足に触れてみると一瞬ビクッと体を跳ねさせる。
だが固まっている訳ではなく目をぱちぱちとさせていた。
「固まらないじゃん…」
「ほんとだな」
「た、多分…今和泉が男装してるからだと思う」
「ふーん…。見てるものが女じゃなきゃ平気って訳か…」