The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
鳴っているから急いで届けないと。
八戒は三ツ谷が止めるのも聞かずに脱衣所へと向かい、ノックもせずにその扉を開けた。
「和泉携帯なって………え……?」
「え…」
扉を開けた先には和泉がいた。
だがその姿は、下はジャージのズボンで上はキャミソールというものであり女性特有の胸の膨らみがある。
そして短いはずの髪の毛は長く、毛先から水滴がポタリと落ちていた。
その姿は完全なる女性。
まさかの姿に八戒は固まると、後ろへとそのまま倒れてしまった。
「八戒!!??」
「だから…待てって言ったんだよ……」
「は、はっかい…??」
白目を向いて倒れている八戒は意識が無く、和泉は慌てているが三ツ谷は顔に手を当てながら溜息をついた。
女性が苦手な八戒は声をかけられただけでも固まる…それが露出が高い姿の女性を見れば卒倒するのも無理は無い。
「和泉……取り敢えず、上は着ような。夏でも、風邪はひくから……」
「は、はい……」
そして和泉は脱衣所でジャージの上着を着ながら、頬に少しの汗を浮かべていた。
まさか八戒まで自分が女である事がバレてしまうとは…そしてこれで女とバレてしまったのは4人目。
(ほんとはバレちゃいけないのになぁ…)
なんて思いながら居間に向かえば、上半身裸である八戒が白目を向いたまま転がされていた。
その横には呆れ顔の三ツ谷。
「八戒、大丈夫なんですか…?」
「おー…まぁ、そのうち目は覚めるだろうからほっといて大丈夫だろ」
「なんか、すみません…」
「いや、こっちこそ悪ぃ。止めたけどコイツ、和泉の電話なってるから届けようとして…」
「電話?」
「ん、鳴ってたんだよ。こいつが脱衣所の扉開けたのと同時に着信音消えたけど」
一体誰からの電話なのか…そう思いながら机にある電話を手に取れば半間からの着信だった。
聞きたいことは山ほどあるが、今は電話に出るほどの気力はない。
そして今かけ直したら落ち着いて話が出来るとは思わず、和泉は携帯を閉じた。
「かけ直さなくて良いのか?」
「はい、大丈夫です」
「そっか。…あ、和泉ここ座ってくれ」
「え?」
「傷、消毒と一応手当しとくだろ?」
「あ…ありがとうございます……」