The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
「そこで隠れて何やってんの。三ツ谷」
「バレてたか…」
苗字を呼ばれた三ツ谷は息を吐きながら出てきてから、マイキーを見て笑った。
そしてマイキーも彼を見ると笑う。
「ねぇ、三ツ谷。お前さイズミっちの事気になってんだろ?」
「お前もだろ。マイキー」
「そうだなぁ…。気になるし、オレのモンにしてぇ」
隠す事無く自分の欲を言うマイキーに、三ツ谷は眉をピクッと動かしてから笑みを消す。
何となくは分かっていた…マイキーが和泉に対して特別な感情を抱いているのは。
だがハッキリ言われると何処か戸惑う所はある。
そう思っていれば、マイキーは苦笑に近い笑みを浮かべながら雨で湿った髪の毛をかきあげた。
「でも、なんか違うんだよな…」
「は?」
「オレのモノにしたいのはある…。だけど、なんかアイツの傍にいなきゃと思うんだよ」
「なんだ、ソレ…」
マイキーにもよく分からない。
でも何故か和泉の傍に居なければ、1人にしてはいけないと思っていた。
「オレもよく分かんねぇや。でも、三ツ谷だからって簡単に渡す気はねぇよ?」
「…それはこっちのセリフだ。じゃあ、オレは帰るからマイキーも帰れよ?ちゃんと風呂入って風邪ひかねぇようにな」
それだけを言い残すと三ツ谷は去っていく。
去り際の言葉にマイキーは苦笑を浮かべてから、髪の毛をわしゃわしゃとした。
「アイツ、ほんと何処までも世話焼きだよなぁ…」
❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈
一方、和泉はやっと武道を見つけてからヒナをきちんと家まで送るように伝えた。
その時に何故か武道が複雑そうな表情をしていたので、不思議そうにしながらも伝え終わえると帰っていく武道とヒナを見送る。
見送ったあと和泉は次は三ツ谷の姿が見当たらない事に気が付いた。
八戒の姿はあるが三ツ谷だけおらず、さっきからすれ違ってばかりだなと首を捻る。
「八戒。三ツ谷先輩は?」
「マイキー君居ないからって探しに行ったけど、会わなかった?」
「会わなかった…」
さっきまでマイキーと一緒にいた和泉だが、鉢合わせする事もなかったなと考えていれば八戒が首を捻っていた。
なんだろうと思えば、八戒は鼻を少し動かしている。
「…なに」
「いや…和泉からマイキーくんの匂いがする」