The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
待合室では皆を落ち着かせようと、ああ言っていたマイキーだから1番泣きたなかったかもしれない。
和泉はそう思いながら何度も背中を摩った。
そんな2人を影から武道は目を見開かせ、口元に手を当てながら驚いていた。
もしかして和泉とマイキーはいい雰囲気の仲なのかと。
(え、もし…もしそうならすげぇ嬉しいけど、なんか複雑な気分ではあるっ!!)
今まで恋愛なんてこれっぽっち興味が無く、そして家の関係で『恋愛なんてするつもりはない』と言っていた和泉がマイキーとそういう関係になっているならば成長したと喜びたい。
だが武道にとって和泉は妹のようなものであり複雑…。
(でも…もしマイキーくんとそういう関係になりそうだったり、なったりしたら嬉しい…。和泉の心が家に縛られるずにいるって証拠だし)
だがふと武道はある1人の人物を思い出す。
最近やたらと和泉が懐いている三ツ谷の存在だ。
三ツ谷とも何だかいい雰囲気でもあるな…と思った時武道は固まった。
「みっ…三ツ谷、くん……」
武道の視線の先には、柱の影からマイキーと和泉を見ている三ツ谷の姿。
無表情のまま、ただ2人を見ており武道は『昼ドラ展開っ!?』等と思っていた。
「イズミっち、ごめん。ありがとうな…」
「いえ…その、大丈夫ですか?」
「ん。あ、オレが泣いてたのは秘密な」
マイキーはそう笑いながら和泉にだけ聞こえるように耳元で囁く。
耳元で聞こえる声が擽ったかったのか、耳を抑えながら和泉は小さく頷く。
「というかイズミっち、ここで何してたの?」
「あ…武道探してて。佐野先輩見ませんでしたか?」
「見てねぇよ?すれ違ったんじゃない?」
「かも、しれませんね…」
「探してこいよ」
「あ……はい」
「またな、イズミっち」
マイキーが気になり、後ろ髪を引かれながらも和泉は頭を下げてから歩き出し武道は慌ててその場を離れた。
もし鉢合わせしたら気まずいのでと、走って東卍メンバーがいる所へと向かう。
歩いていく和泉の背中を見送ったマイキーは、深く息を吐いてから立ち上がった。
自分の体からは僅かにだが和泉の匂いが香ってきて、それに細く微笑んだ。