第17章 ❤︎ ぼくなつ 木兎光太郎
≫夢主side
2人で浜辺をあてもなく歩きながら片手に持った缶チューハイに口をつける。光太郎さんは今日は飲めないって言うから代わりに自販機のジュース。丁度よくアルコールが回って砂浜に足を取られながらもずっとこうやって歩いていた気分だ。
「どこまで行くの、いちかちゃん」
「もうちょっとー」
「酔ってんだから気をつけろよ」
「分かってる。…ねぇ光太郎さん、今帰りだったの?」
「そ。だって全然釣れねぇんだもん。いちかちゃんは?何?こんな夜に一人酒?」
「こんな風に外で飲むの憧れてたの。風も気持ちいいし最高」
「それでお酒も進んでんのか?」
「元々結構お酒は好きなんだけど、今日は特別かな。色んな事から解放されたっていうか、そんな感じで」
「そうなのー?ってそんなに歩き回って大丈夫か?」
私が進めば光太郎さんが追いかけてくる。目の前はくらくらしてるのにそれがなんだかおかしくってつい調子にのって目の前なんてよく見ていなかった。体がふわっと浮いたかななんて思ったら体は砂浜の上にダイブしちゃってた。
「ほら言わんこっちゃない」
どうやら転んでしまってたみたい。今もふわふわしてるから痛みなんて全然感じないけど寝転がってみた夜空には満天の星空が広がっていた。
解放されたなんてほんとは嘘。
だってまだ夢に見るくらいなんだもん。全然まだ、大丈夫じゃない。