第13章 ❤︎ 岩泉先生の彼女と及川先生
≫夢主side
先生が出張に行ってから二日が経った。この二日間二人のやりとりはメッセージが4通だけ…。朝送ったメッセージなんて既読すらついていない。忙しいんだから当然なんだけど寂しさは当然あった。寂しさを埋めるように友人たちとはしゃぎ遅くまで語り合ったりショッピングを楽しんでいた。寂しい分だけ明日になれば声が聞けるんだって思うだけで嬉しかったしこうやって友人たちと過ごす時間だって楽しい。
「もう卒業かぁ」
「早いねぇ」
「高校の3年間ってあっという間だよね」
「それ。楽しかったからなんか寂しいよね」
「卒業と言えばさ、アンケート、ちゃんと出した?」
「え?アンケート」
「ほら及川先生の授業で言ってたじゃん。今日までだよ閉め切り」
「あ、そうだった。忘れてた」
「なら早く行ってきなよ。先生、準備室にいるんじゃない?」
アンケートは一週間前から言われてことだったのにすっかり忘れてしまっていた。あれから何事も起きてはいないにせよ先生の準備室にいくには正直まだ不安は残る。何も知らない友人をちらっと見て袖を引っ張る。
「ねぇ一緒に来てくれない?」
「あーごめん。この後彼氏と約束してんだよね…。最近会えてなかったから今日は早く会いたいんだ」
「そうなんだ…。なら早く行ってあげないとね」
「先生いなかったら机に置いて帰ったらいいじゃん。私だった及川先生に会えるの嬉しいけどなぁ」
「そう?」
「格好いいし優しいしさぁ」
「えー、私は岩泉先生の方がいいけどな」
「岩泉先生とはまた違った魅力があるんだって。彼女とかいるのかなぁ」
「彼氏いるのによく言うよ」
「いいじゃん、目の保養ってことで。ってごめん、もう時間だ。私そろそろ行かなきゃ…」
「引き留めてごめんね」
「ううん、じゃまたね」
「…うん、…バイバイ」
友人の嬉しそうな表情を見たらこれ以上引き留めることはできなかった。このまま帰ってしまおうかとも思ったけど知ってて提出して帰らないわけにもいかない。それにもしかしたら会議かなんかでいない可能性もあるもしいてもさっと提出して帰ればいいし二人きりになれなければ大丈夫、そう自分に言い聞かせて私は準備室へ向かった。