第13章 ❤︎ 岩泉先生の彼女と及川先生
≫岩泉side
丁度生徒の少ない教室を周り、教務室へ戻ろうとした時及川からの着信があった。不審に思いながら通話ボタンをを押すと及川の楽しげな声が聞こえ、そしてスマホの画面に映っていた映像。それは俺の予想を遥かに超えるものだった。
「なんだよ、これ…」
「場所は進路指導室。今リアルタイムで起こってる事だから早く来た方がいいよ」
「なんでっ!お前といちかがこんなことしてんだよ」
「……ま、口止め料ってことかな?」
「ふざけんなっ!!!お前自分が何してんのか分かってんのか!?」
「分かってるよ。だからさ、早く岩ちゃんにもここに来て欲しいんだよ。いちかが待ってるからさ、いちかの為にも早く来てあげて?じゃないと俺が岩ちゃんの代わりしなきゃいけなくなるからさ」
一方的にそのまま通話は途切れる。かけ直すよりも今はいちかを助けに…その思いで無我夢中で走って準備室へと向かった。
進路指導室は校舎の奥、付近に生徒もおらず廊下はシーンと静まり返っている。不気味なほど何の物音も聞こえない教室の前で誰にも見られまいとそっとドアを開けて中に入った。
そして目に入ってきた先ほどと同じ光景に言葉を失いそうになりながらも、絞り出すように声をだした。
「お前…っ、何で…」
目の前のいちかは手足を縛られ、大きく開かれた秘部には玩具が嵌められている。頬は紅潮し、涙の筋が浮かび、その小さな体は震えている。
「可愛く仕上がってるでしょ?」
戸惑う俺とは対照的に及川は平然として答える。頭でもおかしくなったのか、正気なのかって俺は酷く混乱した。
「こんなところで…、いちかに何やってんだよっ!!」
「だから二人の関係を秘密にする代わりに口止め料貰ってたの。あ、でも大丈夫。いちかの体を傷つけるようなことはしてないから」
「だったら俺に言えよっ。いちかにこんな事するくらいならなんで俺に言わねぇんだよ」
「そんなのつまらないし男になんて興味もないから。いちかの方がいいに決まってる」
いちかを親しげに名前で呼んで、いちかの抵抗しない様子に今回が初めての事ではないってことくらいは容易に理解出来る。この前電話越しに聞いた声がいつもとは違ってたのに、なんで俺は何も気付いてやれなかったんだ…。