第13章 ❤︎ 岩泉先生の彼女と及川先生
「なぁ?」
「…ん?」
「冬休みになったらどっか旅行でも行かねぇか?」
「え?」
「だいぶ先の話だし待ち合わせ場所も遠くなるけど、この際思い切るのもいいかなって…」
「本当?」
「まだしばらくはいちかにも辛い思いさせるだろうし、罪滅ぼし的な意味もあるけどな」
「そういうところ先生らしいね」
「まぁな。…んで行くの?行かねぇの?」
「行くに決まってる…」
「んじゃあその予定で俺も色々考えとくから。お前もそのつもりでいろよ?」
「…ん、了解」
先生からの誘いは素直に嬉しかった。次の約束があるってだけで一気に気持ちは晴れ渡っていみたい。
大好きなんだって気持ちを何度も確認するように先生の言葉を思い出しては電話越しではにかんで。
私の壊れそうになる心を救ってくれるのは先生だけ……って、そう思っていたんだけどな。
でも私の心はすでに毒に侵されるように、ゆっくりと確実に浸食されていった。