第68章 ❤︎ 青城3年とルームシェア
「なるほど。第一波でも自宅療養者のことは問題になってたもんね」
「こういう抜かりないとこ、まっつんらしいよね。俺は思いもつかなったよ」
「確かにね。でもマスクやトイレットペーパーが無くなっちゃったことを考えたら先読みは大事なのかもしれないね」
「あ、待って。まっつんからメール…
「なんて?」
「店内混んでるからあと30分くらいかかるって」
「そうなんだ」
「どうしようか。近くに公園でもあるし散歩でもしてく?」
「じゃあちょっと待って。私、トイレ行ってくるから」
「もうすぐそこじゃん。トイレは帰る間際に行ったら?」
トイレは店内だったしきっと混んでるだろう。駐車場の隣が公園になっていて数十メートル先に見える遊歩道。別に急いでもないし松川が戻ってからでも遅くはなかった。
「それもそうだね」
「じゃ行こう?あんまり時間もないし」
「うん…」
さり気なく私の隣に立つと手を握る。特に驚きはしないけど、及川って高身長だし黙っていれば本当にイケメン。そのおかげで今日一日いい思いもさせてもらったのも確か。
「少しくらいは恋人感覚味合わせてよ」
「ほんの少しだけね。今日は沢山荷物運んでもらったし」
「ありがと。俺もさ、いちかと二人きりでゆっくりしたかった」
「そういう甘い台詞はいいから。早く行かないと松川帰って来るよ」
ストレートな台詞に相変わらず弱い私。照れ隠しじゃないけど、なんとなく顔を見られたくなくて及川の手をぐいぐい引きながら公園と向かった。