第44章 雨上がり種植えつけられる✳︎煉獄さん※裏表現有
更に
「……うぅん…」
先程の杏寿郎さんの大声で目が覚めかけているのか、蜜璃ちゃんがごろりと寝返りをうとうとしており
…ミチッ
豊満な胸元を守る(ほぼ守れていませんが)ボロキレのような状態の布は更に避け、私の羽織も今にもペロンとまくれてしまいそうだ。
すると杏寿郎さんは
「危ない!」
邸で過ごす際に身につけている緋色の羽織を一瞬で脱ぎ、蜜璃ちゃんの上にフワリと掛けた。それから羽織の両端を抑え、蜜璃ちゃんが寝返りするのを防ぐ。
「俺は訓練用の袴を持ってくる!すずねはその間に甘露寺を起こしてくれ!」
すかさず指示を投げて来た。
「……っ…」
杏寿郎さんの言った通りにしなければと頭では理解しているのだが、私の視界に映る絵面の凄まじさに、身体がいうことを聞いてくれない。
”半裸の蜜璃ちゃんを杏寿郎さんが組み敷いている”
視覚的情報だけを拾えば、現在私の目に映っているのはそんな絵面だ。けれども
「…っ…はい!」
何とか声を絞り出し、身体を動かし、杏寿郎さんと場所を入れ替わった。
「頼んだぞ!」
杏寿郎さんはあっという間にその場からいなくなり、縁側に残ったのは私と蜜璃ちゃんの2人。
「………」
私は、ものすごく複雑な気持ちになっていた。
……半裸の蜜璃ちゃんに…覆いかぶさる杏寿郎さん
今更2人の事をどうこう思ったりはしないし、蜜璃ちゃんはいまや私の一番のお友達だ。それでも、まるで情事が始まる前を彷彿とさせる絵面を目の当たりにすれば、何も思うなという方が難しい。
……忘れよう…
どうにかこうにかモヤモヤした気持ちを心の奥に押しやり
「蜜璃ちゃん。起きて。蜜璃ちゃん」
蜜璃ちゃんの左肩辺りをポンポンと叩き
「…んぅ…伊黒さん…次はお団子屋にしま…しょ…」
「残念ですが私は伊黒さんではありません。起きてください蜜璃ちゃん」
「……んぇ……すずねちゃん…?」
「そうですすずねです。気分はいかがですか?」
「…気分…え…待って待って…ここどこ…っ…私…どうして…こんな格好なの…?…やだやだ!どういうことなのすずねちゃぁん!」
「大丈夫ですから落ち着いてください。それ以上暴れると色々見えてしまいますよ」
優しく起こしてあげたのだった。