第44章 雨上がり種植えつけられる✳︎煉獄さん※裏表現有
「そうですか?これくらいはお手のものです」
ぐっすりと眠っている蜜璃ちゃんの頭をひと撫でした私は、ゆっくりと立ち上がり
「敷布団を持ってきます。私の羽織は、そのまま上に掛けてあげてください」
と、杏寿郎さんにお願いすると、急いでお客様用の布団がしまってある部屋へと向かった。
蜜璃ちゃんを無事布団に寝かせることに成功した私は、杏寿郎さんに蜜璃ちゃんを任せ、もくもくと掃除をしていた。
玄関、廊下、鍛錬場、床の間、寝室
杏寿郎さん専用の邸とは言えど、それなりの広さを有しており、あちこち掃除しているとあっという間に時間が経過してしまう。
杏寿郎さんが、ひとりで大変であれば、隠の方に手伝ってもらえるよう頼んでくれると言ってくれてはいるのだが、杏寿郎さんが快適に過ごせるよう邸を守るのも妻の大切な勤めだと思い、丁重にお断りさせてもらっている。
それに私自身、私と杏寿郎さんの”愛の巣”に、第三者が不必要に立ち入ってほしくないと思っている節があるので、掃除が大変だろうと、杏寿郎さんが長期任務に就きひとりの時間が長くなろうと、それでいいと思っている。
……そろそろご飯の支度を始めないといけない時間かしら
そう思い、廊下の壁時計に視線を向けた直後
”すずね!今すぐ来てくれ!!!”
杏寿郎さんの大声が邸中にこだました。
私は、手に持っていた雑巾そのままに、急いで杏寿郎さんと蜜璃ちゃんのいる縁側へと向かった。
バタバタと廊下を走り
「どうしまし…っ…!?」
縁側にたどり着いた私の視界に入ったのは、みずみずしい手足が惜しげもなく晒され、ほぼほぼ”裸体に羽織”状態で布団に転がっている、幼子ではない、いつもの蜜璃ちゃんだった。
大事な部分は辛うじて私の羽織で隠れてはいるものの、幼子サイズの洋服は身体が大きくなると共にミチミチ破けてしまったようで
……なにこの視覚的インパクトの大きさ……
私は同性にもかかわらず、蜜璃ちゃんのあられもない姿に目が離せなくなった。