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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第39章 あなたの声は聴こえてるよ✳︎不死川さん※微裏


疲れ切った私はその場で眠りこけてしまったようで、気が付いた時には適当に服を着せられた状態で布団に寝ていた。

隣にはすでに不死川の姿はなく、時間的にもう見回りに出ていることが伺い知れる。


「……結局…言えなかったな…」


不死川のいない、それでも不死川の気配をたくさん感じる部屋で一人そう呟くも、本音ではまだ不死川と一緒にいられると喜んでいる自分がいることに私は嫌でも気が付いていた。

不死川とのこの時間は、例え不死川が心の中で別の誰かに想い焦がれていたとしても、私をその人の代わりにしているのだとしても、それでもいいと思ってしまえるほどに大切な時間になってしまった。

私とこうすることで一瞬でも不死川の心が休まるならそれでいい。心の靄が発散できるならそれでいい。不死川が私を必要としてくれるのであれば、どこにいても、どんな時でも、私が出来ることは何でもしてあげたい。


「……そんなの…口が裂けても言えないけどね」


私は自分でも気づかないうちに、不死川のことを深く愛してしまっていた。
























当たり前のように共に稽古をし、当たり前のように衣食住を共にし、当たり前のように身体を交えるようになってから数か月が経過した頃。


「…お前これから任務かァ?」

「ん?そうだけど…」

「昨日は非番だって言ってたじゃねェか」

「欠員が出たから来てくれって…今朝連絡が来たの」


私は不死川と会話を交わしながら、随分と長くなった髪の毛を1本に括った。


…よし…これで邪魔にならない


頭を左右に軽く振り、顔にかからなくなった髪の毛に満足感を覚えていた私だが


「なんで今日は髪結ってんだよ」


不機嫌そうにそう尋ねてきた不死川に


「なんでって…顔にかかって邪魔なんだもん」


思わず首を傾げてしまう。不死川は私のその答えに


「…そうかよォ」


依然として不機嫌な様子だ。


…何?…変な不死川…


そう思いながらも


「じゃあ時間ないからもう行くね」


あまり深く考えず、適当に返事をすると足早に任務へと出発した。

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