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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第28章 雨降って愛深まる✳︎煉獄さん※裏表現有


その場で正座をし、額が床につくほどに頭を下げ


「古いしきたりなど関係ございません。あなたの事を全力でお支えするとこの場で誓います。なのでどうか…私を杏寿郎様の妻に迎えてください」


初めて自らの意思で、”こうしたい”と口にしたのだった。
















そんなこんなで杏寿郎様と私は夫婦となり、杏寿郎様が炎柱として与えられた屋敷に迎え入れられた。最初はお互いに他人行儀で、形ばかりの夫婦だった。それでも4ヶ月たった今では、それなりにお互いの気持ちの距離も縮まり、加えて夜の夫婦生活も少ないながらも板につくようにり、”本物の夫婦”に近づけたかもしれないと喜ぶ日々を送っていた。


…いたのに。









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「すずねさん。すまないが、今日約束していた甘味屋に行く予定を延期して欲しい」

「…延期…ですか?」


任務から無事戻り、身体を清め、円卓に腰かけた杏寿郎様の前に食事を置く私に告げられたのがその言葉だ。


ずっと前から、次の休みに新しくできた甘味屋に行く約束をしていた。期間限定の、杏寿郎様の好きなサツマイモを使った和菓子が美味しいと噂を耳にしていたからだ。


……楽しみにしてたんだけどな。それに…もう2.3日で期間限定の和菓子…終わっちゃうのに。


それでも


甘味屋に一緒に行くなんて大した約束じゃない。きっと任務に関する重要な予定なんだから仕方ない


そう自分に言い聞かせ


「構いません」


何も気にしていない風を装ってそう返事をした。例えこの約束延期が3回目の出来事だとしても、そうすることが杏寿郎様の妻である私の義務だと思った。


杏寿郎様は日々身を粉にして鬼と戦っているんだもの。行きたいなんて我がまま…言えるはずがない…次が…きっと来年がある!来年の楽しみが増えた。いい事じゃない!


そうやって何とか気持ちを切り替えた。

…のに。


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