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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第22章 残りの時間、私が貰い受けます✳︎不死川さん


「…っすずね…さん…追いつけて…よかった…っ…」


すっかり息の上がっている禰󠄀豆子ちゃんのその姿が、懸命に私のことを追いかけてきてくれたことを物語っており、私は膝に手をつき、はぁ…はぁ…と呼吸を懸命に整えている禰󠄀豆子ちゃんの背中を荷物を持っていない右手で上下に摩った。


「わざわざ追いかけて来てくれたんでしょ?ありがとう」


私が背中を摩りながらそう言うと


「…私…一日…勘違いしちゃってて…出るの…明日だと…思ってたから…屋敷に戻ったら…っ…すずねさん…もう…行っちゃったって聞いて…どうしても…また会いましょうって…伝えたくて…っ…」


そんな風に思ってもらえたことが、私は堪らなく嬉しくて


「…そっか。それで来てくれたんだね…ありがとう、禰󠄀豆子ちゃん」


私は我慢できず、禰󠄀豆子ちゃんにぎゅっと抱き着いた(ちょっと離れた所から善逸君のなんだか嬉しそうな汚い叫び声が聞こえてくる)。


「…ありがとう…禰󠄀豆子ちゃん。…きっと、不死川様を連れて、禰󠄀豆子ちゃん達が生まれ育った家に遊びに行くから」


禰󠄀豆子ちゃんも私の背中に軽く腕を回し


「絶対にですよ?来てくれなかったら、お兄ちゃんと善逸さんと伊之助さんにお願いして、2人の居場所を突き止めて、こっちから会いにいっちゃいますから!」


そう言って、満面の笑みを私へと向けてくれた。


「…あの3人なら、本当に見つけられちゃいそう」

「不死川さんはすごく嫌がりそうですけどね」


そんな事を言い合いながら、禰󠄀豆子ちゃんと私は"あはは"と声をそろえて笑った。

ひとしきり笑い終えた禰󠄀豆子ちゃんは、チラリと不死川様の方を一度見た後


「すずねさん、ちょっとだけ、耳貸してもらえますか?」


内緒話でもあるのか、口に右手をあて、私にそうお願いをしてきた。


「うん。いいよ」


断る理由などあるはずもないので、私はそれに応えるように禰󠄀豆子ちゃんの手に耳を寄せた。


「不死川さん、優しくて素敵で、あんな人とこれから一緒に過ごせるなんて凄く羨ましいです!すずねさん達の今後が、私気になって気になってしょうがないので、何か進展があったらお手紙ください!」


そう興奮を抑えるよに言った。



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