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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第22章 残りの時間、私が貰い受けます✳︎不死川さん


待ち合わせの場所は二股に分かれる道の手前にあるお地蔵様の前。私は、不死川様に会えるのが楽しみ過ぎて早く来すぎてしまったのか、待ち合わせの場所に、その姿はまだなかった。けれども、


”来ないかもしれない”


という不安は、一切ない。


不死川様に会える喜びで、ドキドキと高鳴る胸の鼓動を感じながらお地蔵様の横に並ぶようにして待っていると


「すずねさん!」


聞き覚えの有る可愛らしい声に名前を呼ばれ、私が歩いてきた道の方へと視線を寄越す。するとそこにいたのは


「禰󠄀豆子ちゃん!?」


出発前に話をしたいと思っていたが、いつもの4人で故郷に帰る為の買い出しに出掛けてしまっており、会うことが叶わなかった禰󠄀豆子ちゃんの姿だった(よく見ると、禰󠄀豆子ちゃんの後方から善逸君が物凄い形相で、もの物凄い速度で禰󠄀豆子ちゃんを追いかけてきている姿も確認できる)。


「なんだァ?竈門妹じゃねェか」


急に隣から聞こえてきた声に驚きそちらに顔を向けると。


「不死川様!」


いつの間に来たのか、不死川様が私の隣に立っていた。


「…っすみません!全然気が付かなくて」


私が慌ててそう謝ると


「別に謝る程のことじゃねェだろォ」


不死川がぶっきらぼうに言った。けれども私は知っている。そのぶっきらぼうな言い方が、恥ずかしさを隠すためだと言うことを。


「…なに笑ってんだァ」

「へへっ…なんでもありません」


私が不死川様を見つめながらそう答えると


「あぁそうかィ。つうか、竈門妹、こっち来てるようだが、なんか約束でもあんのかァ?」


そう不死川様に聞かれ、私は慌てて


「っとそうでした!私ちょっと行ってきますね」


全ての言葉を言い終わる前に禰󠄀豆子ちゃんのいる方へと走り出した。


「慌ててけつまずくんじゃねェぞォ」


背後から聞こえてきた、不死川様の私を気遣うその言葉に


やだもう好き!


と思いながら、私は禰󠄀豆子ちゃんに向け急ぎ走った。



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