第22章 残りの時間、私が貰い受けます✳︎不死川さん
「…改めて…言わせてください…」
「…なんだァ」
名残惜しいと思う気持ちをグッと抑え、私は不死川様の首から腕を離す。するとやはり、私の頭に触れていた不死川様の手も離れて行ってしまった。
じっと、不死川様の鋭く、そしてそれに反する優しさを隠し持った目を見つめる。
「私が毎日、不死川様を笑顔にします…絶対に、幸せに…します…!だから…どうか私を…不死川様の側にいさせてください!残りの、不死川様の人生を…一緒に…過ごさせて下さい…!」
ありったけの思いを込め、私はそう不死川様に乞うた。
「……」
けれども不死川様は、私から目を逸らすことはしないが、口をグッと閉じたまま、返事をくれようとはしない。
「…っ私!健康にも自信があります!隠として不規則な生活をしていた時も、月のものが遅れた事は一度も「馬鹿がァ!女が自分からそんなことを言うんじゃねェ!」
目をギンッと見開き、大声で不死川様は私の言葉を遮った。
「…っ嫌です!わかってくれるまで、言い続けます!好きです!私が不死川様を幸せにします!毎日一緒にご飯を食べて、笑って、同じ布団で寝て、あなたの子を、私が産むんです!絶対…っ絶対!!!」
はぁ…はぁ…
静かな部屋に、興奮し、荒くなった私の息遣いだけが響き、お互いに睨み合うように、ただ視線だけが交わっていた。
「…ったくよォ…おかしな女に捕まっちまったもんだァ」
その言葉と共に、不死川様の鋭く吊り上がっていた目が、フッと優し気なそれに変わった。
「…っそれって…!」
目を見開き驚く私の顔を、不死川様が、私が初めて見る真剣な表情で見返してくる。
「…お前も知ってる通り、俺は後、4年ぽっちしか生きられねェ」
「はい」
「俺のそばにいればいる程、お前には辛い別れしか来ねェ」
「…別れは…確かに辛いです。でも、それでも…心から恋慕う相手と過ごす4年は…なによりも深くて、大切で…幸せな時間に…なるんです…っ!」
そうじゃない未来なんて、私は望まない。