第22章 残りの時間、私が貰い受けます✳︎不死川さん
予想だにしない不死川様のその行動に
ぼッ!
音を立て、頬が急激に熱くなる。
「…フッ…お前でも、そんな顔すんのなァ」
そう言って笑う不死川様の顔は破壊力抜群で、
「…っ…だって…不死川様が…急に…そんな風に…触って来るから…」
好きで好きでたまらない相手にそんな風に触れられて、そうなるなと言う方が到底難しいと言うものだ。
「散々人のことおちょくってたくせに、こっちがこんな風にしたらそのざまかァ?ん?」
そう言いながら恥ずかしさでプルプル震えている私に、不死川様はズイッと顔を寄せてきた。
…っやだぁ!恥ずかしい!恥ずかし過ぎる!
「…っ何ですかぁ急にぃ!!!そんな…何の前触れもなく態度を変えられては…困るんです!心の準備が…できていません!」
私は恥ずかしさを誤魔化すように、両手で顔を覆い、不死川様の顔が見えないようにする。
そんな私の行動が相当おかしいのか、不死川様のくつくつとした笑い声が私の耳に届く。
完全に揶揄われてる。やられっぱなしは…悔しい!
何故か対抗心が湧き上がってきてしまった私は、不死川様を今の私以上に恥ずかしがらせたいと、そう思った。
パッと顔を覆っていた手を外し、不死川様を見ると、未だに笑っている。
今がチャンス!
座らされていたベッドから立ち上がり
「…っおい!」
私は不死川様の首にぎゅっと抱きついた。
驚き戸惑う不死川様の声に
「…へへっ…お返しです」
そう言いながら、その首に抱きつく強さをぎゅっと強くする。
不死川様はそんな私の行動を咎めることなく、抱き返してはくれないものの、私の頭をぽんぽんと優しく撫でた。
…どうしよう…嬉しくて…泣いちゃいそう。
何がきっかけかは良くわからないが、私の気持ちがようやく不死川様に届くかもしれないと思うと、まだ受け入れてもらえると決まったわけでもないのに、目頭がじわりと熱くなっていた。