第22章 残りの時間、私が貰い受けます✳︎不死川さん
「はい!思っておりました!でも2度と、そんなことは思いません!感謝の気持ちを持って、身体が動くようになったら手伝いをかって出ると約束します!」
先程暴言を吐いていた時とは全く違う様子に、
これは…相当、不死川様と冨岡様に絞られたのかな…?
そんな事を思ったものの、理由はどうであれ、心を改めて貰えたのであれば、私がこれ以上怒る必要はない。
「…そう、思っていただけるのであれば、私からはもう言うことはありません。だから…不死川様も、もうそんな怖い顔をしなくても、大丈夫です」
不死川様はそれこそ目で射殺せそうな視線を、土下座をしている隊士に向けており、私は"もうそんな事をする必要はありませんよ"と言う意味を込めてそう言いながら不死川様に笑いかける。
私のその言葉に不死川様はグッと眉間に深い皺を刻んだ。
そして、ズンズンとその隊士の横をすり抜け
パシリ
「へ?」
不死川様の剣蛸だらけの固い手のひらが私の手首を掴んだ。
…不死川様の手が…私の腕に…触れてる?
今まで何度も、包帯交換で不死川様の身体に触れてきた私だが(なんだか少し聞こえが悪いような気もするが、決して卑猥な意味は少しもない)、今まで一度たりとも、不死川様から触れられることはなかった。
手…凄く…熱い。
その事実を理解した途端、私の心臓はドキドキバクバクと自分でも聞いたことのないような音を立て、一瞬で私の思考能力を盛大に破壊した。
「こいつ、借りていくぜェ」
「…えっ…ちょ…なっ…不死川様…?」
私の手首を掴んだ不死川様は、半ば私を引きずっていくように台所から私を連れ出し
「…あの…っ…何処に?」
そのまま止まる様子もなく、何処かへと向かって行った。