第22章 残りの時間、私が貰い受けます✳︎不死川さん
不死川様がその隊士の背中をドンと強く押し、私たちの前に出るように促す。その隊士は、背中を押されたその勢いのまま土下座の体制になると
「っ申し訳ありませんでしたぁぁぁァア!!!」
台所だけでなく、蝶屋敷中に響き渡るような大声でそう謝罪を述べる。
「…その謝罪の言葉は、何に対する謝罪でしょうか?」
私がそう尋ねると、
「人よりも力があるはずの鬼殺隊士の俺が、女性の頬をそんな風に赤く腫れてしまう程の力で…叩いてしまった事に対する謝罪です!」
そう答えた。
…違うんだよなぁ。
そう思った私は、
「そんな謝罪であれば、私は聞きたくありません!」
床に額をこすりつけ、土下座を続ける男にそう言った。そしてスタスタとアオイさんの隣まで移動する。そんな私の行動に、アオイさんは戸惑いを感じているのか、いつものキリッとした表情は完全になりを潜め、
「…すずねさん…?」
不安気な表情を浮かべていた。私はそんなアオイさんにニコリと微笑みかけ、アオイさんの右手をぎゅっと両手で握り、
「あなたはまず、このアオイさんに謝ってください!アオイさんはたった1人で皆さんのご飯を考えて、材料を調達して、ここで療養しているみなさん一人一人のことを考えながら美味しいご飯を作ってくれているんです!間違っても、味が薄すて美味しくないだなんて…言わないで下さい!」
土下座する男の頭頂部に向け大声でそう言った。
「はい!二度と言いません!いつもいつも、美味しいお食事を、俺たちのためにありがとうございます!」
そして次に、なほちゃんすみちゃんきよちゃんのところに行き、後ろから3人をまとめて抱えるようにして腕を伸ばし
「この3人も!毎日毎日、汚れた病衣やシーツを手洗いして、綺麗にして、蝶屋敷で療養する人達が過ごしやすいようにと掃除をしたり、配膳をしたり、いろんなことをこの小さい身体でしてくれています!どれだけ大変か、あなたには想像できませんか!?やってもらうのがあたり前だと、そう思ってはいませんか!?」
先程よりもさらに大きな声でそう言った。