第22章 残りの時間、私が貰い受けます✳︎不死川さん
きよちゃんを抱いた私が台所に到着すると、そこには幸運にもアオイさん、すみちゃん、なほちゃんがそこいた。
「2人ともどうしたんですか!?」
アオイさんが大慌てでお玉から手を離し、こちらに駆け寄ってくる。
「「きよちゃん!」」
すみちゃんとなほちゃんも、泣いているきよちゃんに気がつくと、配膳台に食事を置く手を止めこちらに近づいて来た。
「…ちょっとね…あの少し気難しい隊士の方、いたじゃないですか?その人と…揉めちゃったんです」
きよちゃんを床に下ろしながら私はそう言う。
「っすずねさん!そのほっぺ…その隊士にやられたんですか?」
きよちゃんを床に下ろしたことで、アオイさんから見えていなかった私の頬がしっかりと見えるようになってしまい、アオイさんは声を震わせながら私にそう尋ねて来た。
「酷いです!女性の頬を叩くなんて…」
「出血もしているし早く冷やさないと!」
すみちゃんとなほちゃんも、未だに落ち着かず、ポロポロと涙を流し続けるきよちゃんに抱きつきながらそう言った。
その時、
「…私のせいで…すずねさんが…」
きよちゃんの悲し気な声が私の耳に届く。私はきよちゃんを挟むようにして抱きついているすみちゃんとなほちゃんに近づき、膝立ちになると、腕をめいっぱい広げ3人まとめて抱き込んだ。
「…きよちゃんのせいなんかじゃないよ?…私は大丈夫。大丈夫だから…ね?もう、そんなに泣かないで?」
私はそうして、すみちゃんが落ち着き取り戻すまで、
大丈夫。大丈夫だよ。
まるで言い聞かせるかのように、繰り返し言い続けた。
そんなことをしていると
「…オイ。少しいいかァ」
台所の入り口から、大好きな人の声が聞こえて来た。
「不死川様!…それに、あなたは…っ!」
怒りを孕んだアオイさんの声に3人から腕を離し振り返ると、そこにいたのは不死川様と、先程の隊士だった。
…っうわ…なんだか別人みたいになってるし…
不死川様と冨岡様にこってり絞られたのか、その顔はつい先程まで激情していたのが幻だったのかと思えてしまうほど、憔悴していた。