第21章 おにぎり大合戦【さつまいもvs鮭】
「…ごめんなさい…私…やっぱり説明がへたっぴよね…」
「いいの!そこが蜜璃ちゃんのかわいいところだもの!ぞれじゃあ…もっと具体的に質問するね」
「具体的にね!うん!その方がきっと私、答えられるわ!」
「ぇえと…それじゃあ、蜜璃ちゃんは、恋をしていて良かったなって思うこととかある?」
「良いことね!それはたくさんあるわ!えっと…好きな人のことを考えるとね、胸が温かくなって、自然と力が湧いてくるの。必ず戦いに勝って、その人に生きてまた会うんだって思うと、辛くっても頑張れるの」
そう語る蜜璃ちゃんの顔は、可愛らしくもあり、目には見えない力強さのようなものを感じた。
「自然と力が湧いてくる…かぁ…。素敵。……もう少し、聞いても良いかな?」
私がそう尋ねると、
「もちろん良いわ!なんでも答えてあげる!」
そう張り切った様子で答える蜜璃ちゃん。
「…蜜璃ちゃんは…どうして伊黒様が好きなの?」
「…えっ!?」
"伊黒様"という具体的な名前を出した途端、蜜璃ちゃんの頬は桃色に染まり、普段から可愛らしいその顔はいつも以上に可愛らしくなる。
頬に両手を当て、恥ずかしげにもじとじとしながら
「伊黒さんね…伊黒さんよね…」
蜜璃ちゃんが瞳を左右に揺らし、噛み締めるようにそう言った。
「あの…あのね、伊黒さんは…私がご飯を食べているときに、とっても、とーっても…優しい顔で私のことを…みててくれるの」
そんな蜜璃ちゃんの言葉に、私は伊黒様のことを頭に思い浮かべてみる。
"甘露寺が一番親しいのは自分だと思っているんだろう?いい気になるなよ。いい気になるなよ"
"まさか…そんなこと思っていません…!"
"嘘をつけ。その間抜けな顔にはっきりと書いてある"
"書いてません!書いてませんからそんな目で睨まないでくださいぃ!"
蛇のようにねちっこく私を睨み、全力で敵対心を剥き出しにするあの伊黒様のどこに、そんな頬を染めてしまうような魅力があるのか。
…ごめんね蜜璃ちゃん。私には全然わかんないや。