第21章 おにぎり大合戦【さつまいもvs鮭】
その表情に我に返った私は、
「…騒いでしまい申し訳ありません」
かぁぁあっと急激に熱くなる頬に、自分のそれが林檎のように赤く染まっていることが容易に想像できてしまう。
”いいんだよ!若いって良いね!”
と奥から蜜璃ちゃんが追加注文をしたおしるこを作っている女将さんの声が聞え、
パチリ
と目があった蜜璃ちゃんと私は"ふふっ"と笑いあった。
「せっかくおいしい草餅が目の前にあるんだもん。早く食べないとね」
そう言って椅子の位置を直してから静かに座る。
「そうよそうよ!他にもまだお勧めがあるのよ?お持ち帰りのお団子もお勧めなの!」
「そうなの?それじゃあ師範になにか買って………」
自分のその言葉にぱっと再び思い出された、師範の顔。
目の前にある草餅を一口食べ、その美味しさに心を落ち着かせた後
「…蜜璃ちゃん」
「…なぁに、すずねちゃん」
「…恋って…人を好きになるって…どんな気持ち?」
私はそう蜜璃ちゃんに尋ねた。
蜜璃ちゃんは、私のその問いにパッとその瞳をキラキラと輝かせ
「恋ね!恋のことね!それはもう恋柱、甘露寺蜜璃に任せて頂戴!」
と両手に握りこぶしを作り、胸のあたりでバタバタと忙しなく動かしながらそう言った。
「ふふ…お願いします!恋柱様」
「すずねちゃんのためなら私、とっても頑張ちゃうわ!えっと…恋っていうのはね、胸がずきゅんずきゅんして、心もぐわぁぁあってなって、力もメキメキってわいてくるの!!!」
ずきゅんに、ぐわぁぁあに、メキメキ…?
うん。そうだ。そうだったね。蜜璃ちゃんは説明がすごく苦手だったね。うん。この感じ、すごく懐かしい。
そんなことを考えながら、曖昧な笑みを浮かべる私に気がついた蜜璃ちゃんが、眉を下げ、不安げな表情で私の顔を見る。