第21章 おにぎり大合戦【さつまいもvs鮭】
「原因を作ってしまった俺がこんな事を言うのもおかしいんですが、すずねさんから物凄い戸惑いの匂いがします!煉獄さんと義勇さんがお互いにすずねさんを渡したくないと思っている気持ちもよくわかります!だけど…少しで良いので落ち着いて下さい!」
しーん
となるあたり一体。
その反応に、
「…っは!俺はまた…余計な事を…!」
そう言いながら頭を抱える炭治郎君に向け、
落ち着いて欲しいのは…炭治郎君の方ですぅぅう!!!
私は心の中で叫んだ。
「竈門少年。君が言っていることに間違いはない。俺は確かに柏木を冨岡に渡したくないと思っているし、今すぐ柏木と二人で話がしたいとも思っている」
「…それは俺も同じだ。いくら煉獄がいつも俺を気にかけてくれているとは言え、それとこれとは別だ。俺も、柏木と話す必要がある」
そう言い合う師範と冨岡さんに、もう本当にどうしたら良いかわからない私は、蜜璃ちゃんの腰にしがみつく力をぎゅっと更に強めてしまう。
「こんな素敵な殿方二人に同時に迫られるなんて羨ましいわ!…じゃなくて…こんな子犬みたいに震えているすずねちゃんなんて初めて!私、お友達としてこんなすずねちゃんを放っておくことなんて出来ないわ」
そう優しく、そして力強く言ってくれる蜜璃ちゃんの言葉に恐る恐る顔をあげると、
「すずねちゃん!これから少し、私と二人でお話しましょう?そうすれば少し気持ちも落ち着いて考えることが出来るようになるかもしれないわ!」
蜜璃ちゃんの苗色をした優しい瞳と目が合い、ホッと安心感が胸に広がった私はその提案にゆっくりと頷き、肯定を示す。
「やったわ!と言う事なので、煉獄さんに冨岡さん。すずねちゃんのこと、しばらく私に任せて下さい!」
蜜璃ちゃんに隠れながらチラリと師範と冨岡さんの方を見ると、二人はお互いの顔をじっと見合った後、蜜璃ちゃんに顔を向け
「うむ!承知した」
「わかった」
と納得をしてくれた様子だ。
「ありがとうございます!それじゃあ…すずねちゃん、美味しい甘味でも食べながらゆっくりお話しましょう!」
蜜璃ちゃんはそう言って、私の手に、優しくその手を重ねてくれた。