第21章 おにぎり大合戦【さつまいもvs鮭】
頭上で行われるそんなやり取りに
「…あの…私としては、2人も…その手を…離してもらいたい…と思っているのですが…」
そうボソリと言うも、
「だめだ!」
「だめだ」
本日3回目のシンクロを見せる師範と冨岡さん。
…どうしたら…良いの?
心の中でそう嘆いたその時、
「きゃぁぁぁあ!なんですか?どうしたんですか?道端で激しくキュンキュンしちゃうその状況!」
師範の向こうから聞こえてきたその聞き慣れた声に
天の助け!
その声の持ち主の姿を確認しようとなんとか身体をよじる。すると、視界に入ってきたのは桃色の空気を纏に纏いまくった
「…っ蜜璃ちゃん!」
私と姉妹弟子関係にあたる蜜璃ちゃんの姿だった。その姿を確認するや否や反射的に
「お願い蜜璃ちゃん!助けて…っ!」
と半泣きで助けを求めてしまった。私のその声を聞き届けてくれた蜜璃ちゃんの瞳がハッと見開かれ、先程までの桃色の空気とは違った空気を纏い、ダッとこちらに走り寄ってくる。
そして、
「すみません!」
ベシッ
「む!?」
バシッ
「…っ!」
私の腕を掴んでいる、師範と冨岡さんの手をはたき落とした。
ようやく腕が解放され、自由に動くことができるようになった私は蜜璃ちゃんの背中の方に急いでまわり、その女性らしい柔らかさはあるものの、キュッと引き締まった腰回りにギュッと力の限り抱きつく。
師範と冨岡さんは、蜜璃ちゃんに叩かれた場所をじっと見ながら固まってしまっているようだった。
「…煉獄さん、冨岡さん…叩いたりしてしまって…すみません!でも…あまりにもすずねちゃんが困っているように見えたかから…」
蜜璃ちゃんのその言葉に、蜜璃ちゃんの背中に埋まるかのようにくっつけていた顔を、ブンブンと上下に動かして肯定の意味を示した。
それに続くように
「ごめんなさい!…俺が…余計な事を言ってしまったばっかりに…!」
と、必死で謝っている炭治郎くんの声も聞こえて来る。