第21章 おにぎり大合戦【さつまいもvs鮭】
違うのであれば…じゃあ一体なに…なんなの?
2人のその態度に段々と不安よりも、苛立ちの気持ちが強くなり始め
「…っ違うって言うんなら、そのお二人のギスギスした空気は一体なんなんですか!?私が何かしたって言うんですか!?私が何かしてしまったのが原因なのであれば、はっきりと言ってください!そんな風に遠回しに言われても…私にはなにが言いたいのか…わかりません!」
もやついた思いをぶつけるかのように大声で言ってしまった。
興奮し出した私を落ち着かせようと、冨岡さんから少し離れて立っていた炭治郎くんが私の正面に、慌てた様子で近づいてくると、
「柏木さん!落ち着いてください!煉獄さんと冨岡さんは別に喧嘩をしている訳じゃないんです!ただ2人とも、柏木さんのことが好きだから、その気持ちがぶつかり合ってしまっているだけなんです!」
その行動と同じく、慌てた口調でそう言った。
「え?」
「む?」
「…?」
師範、冨岡さん、そして私の声が重なり、6つの目が全て炭治郎くんへと向けられた。
ハッと炭治郎君が自分の口をその両手で塞ぎ、
「…俺…今…何かとんでもない事を…口走りましたか?」
若干顔色を悪くし、私の顔を見ながらそう言った。
「…ごめん…私も…ちょっと…うん…意味が……わからない…」
聞き間違えでなければ、炭治郎君は
"ただ2人とも、柏木さんのことが好きだから"
とそう言わなかったか。
好き?好きって…え?どう言う意味?え?弟子として?ん?おにぎり係として…?
「…ん…と…あの…私…お先に…失礼…します…ね?」
完全に自己処理機能を失った脳を、まっさらにする為、フラフラとその場からいなくなろうと歩き出すと、
パシッ
「…っ!?」
右腕を師範、左腕を冨岡さんに掴まれてしまい、それ以上その場から動くことが叶わなくなった。
ドクドクドクドク
掴まれた手首から伝わってくるような甘く、それでいて暑い熱に、心臓は意味がわからないほどに大きく高鳴り、私の首から上も同じように熱を帯びていく。