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【NARUTO】月影の恋人(R18)

第7章 門出



「結っ!危ない!!」

グイッと腕を引かれ振り向くと、そこに親父さまを負ぶったカカシがいた。

「っカカシ!!」

話そうとした口を人差し指で止められる。

「話は後!
さき楼主を医者に!」

親父さまはカカシの背でぐたりとして動かない。
顔も体も煤だらけで外傷があるかも分からなかった。

「う、うん!
こっち!!」

わたしは花街にある、よく知る医師の元に駆け出した。





「喉と、背中に火傷してるけど、軽いから大丈夫。
まだ意識も戻らないので、念のため今夜1日入院にしましょう」

「はい。ありがとうございました」

何かあれば呼んでと言い置いて、医者は部屋を出ていった。
親父さまの、まだ拭ききれない煤がついた黒い顔を見ながら心底ホッとしたら、わたしは足にうまく力がはいらなくなってしまい、尻餅をつきそうになる。

「結!大丈夫!?」

後ろにいたカカシが咄嗟に支えて立たせてくれる。

「あ、ありがとう。
なんか、ホッとしたら力抜けちゃって……」

「ここ、座りな」

近くにあった折り畳みの椅子を、カカシが開いて座らせてくれる。

「ありがとう」

「ん。
よかったね、大したことなくて」

「うん……。ホンマ、よかった。
よかったぁ……」

親父さまの肉厚で大きな手をぎゅっと握りしめる。

温かい……

気づくと両目からボロボロと涙が出ていた。
カカシは何も言わず、そっと頭に手を置いてくれた。
 
 しばらくすると涙は落ち着き、わたしたちが行く場所がないことに気づく。

「今晩、どこか他のお店にお部屋借りれるか頼んでみるわ。
お風呂も入りたいよね」

こういうときは、お互い様と助け合うのが花街の風習だった。
どこに行こうかと考えていると、カカシが口を開く。

「どこも混乱してるだろうし、この近くにある宿、取ろうか」

遊女のわたしには思いもつかない考えだった。
外の世界は、わたしには異界だ。

「でも……」

戸惑い親父さまの顔を見たとき、親父さまの口が微かに動いた。

「結、行ってこい」

のどの火傷のせいか小さく掠れた声だけど、確かに親父さまがしゃべった。

「親父さま!!気づいたん!?」

「近くで大きい声出すな!ぐ、ゲホゲホ、ゴホ……」

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