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【NARUTO】月影の恋人(R18)

第7章 門出



 「お酒飲んでたから、口ん中冷たくて気持ちいい」

舌で口の中を弄られ、ゾクリと肌が粟立つ。

「っんっ…、んぅ、はぁ……」

「結……」

「カカシ、好き……」

わたしの言葉に微笑んだカカシが、急に厳しい顔になり、わたしの肩を抱き寄せ周囲を見渡す。
その直後、急に店内に女たちの悲鳴や、怒声のようなものが響き渡った。

「火事だ……」

「え……?」

カカシは小さく呟くと、わたしを抱え上げ、屋根から飛び降りた。
店の方を振り返ると、客や遊女、店の者も、みんなパニックで、ごったになって出てくる。
一階の部屋の窓からは、黒い煙が濛々とあがっていた。

あそこは……!!

「カカシ!どうしよう……。
煙出てるん、親父さまの部屋の方や!
親父さま、足、悪いのに……!!」

カカシの目が見開かれる。

「結は他の人たちと向かいの店に避難して!
消防も呼んでもらって!!」

カカシが店の方に駆け出す。

「カカシ!!」

わたしが名を呼び終わる前に、カカシの姿は見えなくなってしまった。

どうしよう……、カカシも、親父さまも、沙耶も……なんかあったら……

「姐さん!!」

パニックになって動けずにいると、腰に禿の沙耶が寝巻きのまま抱きついてきた。
その顔も体も煤だらけで顔は涙でグシャグシャだ。

「沙耶!無事でよかった!」

わたしは小さな体を抱き締めると、手拭いで顔の煤を拭いてやる。
沙耶が来てくれたことで少し冷静さを取り戻したわたしは、沙耶を店の人に預けてから、向かいの店に駆け出した。

今はわたしにできることをしないと!!
わたしは震える、でも精一杯の声で叫んだ。

「すいません!火事です!
消防、すぐ呼んでください!!」

叫んだ直後、バァ…ン……!!!と何かが爆発する音が辺りに響き渡る。
振り返ると、店が炎で包まれていた。

「ぃ、いやぁ……!!
カカシ!親父さま!!!」

駆け出そうとすると、後ろから腕を掴んで止められる。

「今行ったら危ない!!
ここで待ちなさい!!!」

「や、離して!!!」

むちゃくちゃに身を捩って腕を振り払うと、わたしはお店の方に駆け出した。

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